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インド 高額紙幣廃止と電子決済

インドで11月に行われた高額紙幣廃止の突然の廃止。

(500rpsと1000rpsが廃止され、新たに500rpsと2000rpsが発行された。)

社会に相当の衝撃を与え、最初の一週間はATM前に長蛇の列、現在も銀行支店以外のATMは刷不足で閉鎖、銀行支店も列が出来ている。インドの2016年の成長率は久々に6%台に落ち込むことが予測されている。

 

私はこの施策はモディ首相の英断であり、中長期的にはインド経済の発展に大きく寄与するものだと思う。腐敗や裏金、不正蓄財がはびこり、'00年代にはGDPの50%がブラックマネーで動き、数%の人しか納税していないという現実を見るとこういった大きな施策をしない限りはインドの経済の透明性は確保できないと考えるのが正解だと思う。

 

モディ首相はこの施策のあと現金をなるべく使わない、キャッシュレス化社会を叫んでいる。最初に聞いたときには、全く実現性のない話だと思った。相当の大きな会社でも現金決済で、経済の78%が現金決済という国での実現可能性は低いと考えた。

高額紙幣を無効にしたインドが目指すのは「キャッシュレス社会」 - GIGAZINE

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM26H44_W6A221C1FFB000/

しかし、いくつかの最近のテクノロジーや施策を見ていくとしっかりと、この高額紙幣廃止とリンクするものが見つかった。

 

その1つは「Aadhar」と呼ばれるIDシステムだ。虹彩指紋認証とリンクしたこのシステムは10億人以上が登録しており、政府機関だけではなく、私企業も利用が可能で、携帯電話や納税、銀行口座とリンクしている。私企業にこのシステムが開放されていることがとても大きな要素で、今後このシステムをベースにした様々なサービスの導入が期待されている。

ネットインフラ、インドを拓く :日本経済新聞

https://eaadhaar.uidai.gov.in

 

もう一つキャッシュレス社会を後押しするものはpaytmに代表されるモバイル決済だ。

このシステムは少額の決済、決済端末を持たない店舗でも決済が可能。写真の様な路上の店でも登録さえしておけば、モバイルからの支払いが可能になる。これはインド社会にとって大きなことで、路上店舗や小規模小売店で支払いがオンライン化できる。店主が銀行口座と携帯電話を持っていれば、少なくない手数料がかかり、電源、インターネット回線が必要なカードの決済端末は必要ない。

 

この二つで保険や銀行口座開設、納税など個人認証が必要なジャンル、小規模な小売(路上店やパパママショップ)のジャンルはカバーできる、大型店舗やスーパーマーケットはカード決済システムをもともと持っているので問題はない。

 

どこに問題があるのかといえば、小規模のBtoBなどだろうか。小売ではないので、Paytmなども利用できず、また銀行間決済もしたことがない、現金問屋の様な業態がインドに溢れている。チェックでの決済は可能だが、不渡りも多く、またいくら不渡りを出しても問題がないので、日本の小切手の信用度などない。

 

オンライン、電子化は新興国の方が行き渡りやすいと言われているが、インドはその典型だろう。しかし政府のオンラインシステムも最後の一歩で書類提出が必要であったり、オンラインと紙ベースで進捗の速さが変わったり、隙間を突いて裏金をせびろうとする役人がいたり、また州レベルでは全く電子化していないなど今後の課題は沢山ある。

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しかし5〜10年後のインドを考えてみると、キャッシュレス化が進み納税が正しく行われ、transprarency indexが上がり、社会の不公平感が減少し、外資の導入も進んでいることを期待したい。